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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品
第10回 入選青少年部門
「持ちましょうか」
佐々木 若奈(秋田県)
みなさんは「人助け」をしたことがありますか。私は困っている人がいたら、すぐ助けたくなるタイプです。でもそれはある出来事の後から――。
これは、私がまだ小学校に通っていた時のことです。当時、私は四年生でした。いつものように歩き慣れた通学路を歩いていると、おばあさんが、大きく重そうなごみ袋を持ってゆっくり、ゆっくりと歩を進めているのを見かけました。道徳の授業では、「困っている人がいたら助けましょう」と教わっていました。ですからそれを実践すればよかったのですが、その時の私は、生まれて初めての状況に、軽くパニックを起こしていました。何回かは、「よし!」と心に決めましたが、その度に、「断られたらどうしよう」という不安が頭の中をよぎりました。悩みに悩み、私は決心しました。そして、そのおばあさんに向かって走り出しました。その時の心境は、もちろん不安もありましたが、もう「当たって砕けろ」ぐらいの気持ちになっていました。そして私は、深呼吸をしてから尋ねました。「そのごみ袋、持ちましょうか。」
私はおばあさんの表情をうかがいました。するとおばあさんは、くしゃっと笑ってこう言ったのです。「ありがとう。嬉しいねぇ。」
私は笑みをかくしきれませんでした。おばあさんは、私の気持ちを受け止めてくれたのです。私はおばあさんに渡された、ごみ袋を持ちました。見た目どおり重く、持つのが大変でしたが、がんばって持っていきました。そしてごみ捨て場についたとき、おばあさんが「助かったよ。」と言ってくれました。私はルンルンした気分で学校に行きました。その日はなぜか勉強がはかどりました。それからしばらくした日の事。私は帰りの準備をしていました。珍しく早く準備が終わったので、前から渡ってきたお便りをぼんやりながめていました。すると、身に覚えのある、お話が、全校のお便りに掲載されていたのです。それは「近所の方から電話が来た。内容は、重いごみ袋を旭川小学校の子がもってくれた。大変助かった」というものでした。この内容はおおまかにまとめたものですが、示されている場所も学校名も、全てがあの日の「人助け」と一致していました。あのおばあさんが学校に電話をかけてくれたのです。この時、私の達成感は二倍になりました。
私は、この出来事を通して「人助け」の大切さを学びました。同時に自信がつきました。今では、困っている人がいたら迷わず悩まず、瞬時に対応できるようになりました。 これで私はまた一歩前進しました。「人助け」はこれからも続けていきます。