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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品
第10回 入選青少年部門
出会うことは。
杉本 柚来(和歌山県)
出会いとは何でしょう。そう、出会いとはたくさんあるのです。学校での出会い、社会での出会いがあります。私が体験したことを紹介しましょう。
私は、小学五年生のとき、手術をしました。とても大きい手術で入院もしました。私は、この手術が人生初の手術でした。私の手術は、神経を切り、筋肉と骨を削るという手術でした。手術後、ベッドのまわりをカーテンでかくしていました。私の病室は四人部屋で、全員女の人でした。私の前のベッドの人は、当時二十一歳でバイクでの事故で入院していました。感覚が戻らなくなったことと一人でいることで泣いていた私にお姉さんはこう言いました。
「柚来ちゃん、大丈夫。君は一人じゃないよ。私が退院まで一緒にいてあげる。大丈夫。」
と言ってくれたのです。私はこの言葉にとても助けられました。お姉さんはすごいと思いました。初対面の私に一緒にいてあげると言ってくれたのです。お姉さんは、保育士さんでした。だから、あやとり、折り紙とお絵描きを教えてくれました。ですが、私が入院五日目の時、お姉さんが退院してしまいました。お姉さんは、私に折り紙と絵をわたしながら言いました。
「柚来ちゃんのために作ったの。受け取ってくれる?毎日会いにくるからね。」
と言って病室を出て行きました。お姉さんは、言ったとおり毎日来てくれました。そして、三日たったある日、隣の病室に当時五歳の男の子が来ました。その男の子はずっとずっと泣いていました。頭の手術だったので怖かったのです。私は男の子のお母さんに許可を取って中に入れてもらいました。そして男の子のために作ってあった、恐竜の折り紙を見せて言いました。
「ずっと泣いているの?恐竜さんが見て笑ってるよ。恐竜さんみたいに笑おう。また遊びにくるね。」
と言うと、男の子はニコニコしながら、
「うん!また恐竜さん作って来てね。」
と言ってくれました。私はそこで思いました。私は男の子を励ましてあげられたのかなと。私は、お姉さんに励まされて頑張りました。男の子は、私が励ましてあげました。そうして人は、人と出会い、お互いを助け合い、そして繋がっていくことを学びました。
人は、出会い、繋がり、別れ、そしてまた出会います。私は、お姉さんと男の子に出会いました。そして、励ますことで繋がりました。そして退院することで別れました。私には次の新たなる出会いが待っています。私はこの体験と考えを持って将来に向かって行こうと思います。