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「小さな助け合いの物語賞」受賞作品

第11回 未来応援賞作品・入選者

小さな助け合いの輪をつくる

道本 ニコヤ(熊本県)

 八月一日。私は元気に十五歳を迎えることができた。こうして、私がこの世界で中学三年生として生きることができているのは知らない方々に善意の協力をいただき、医療機関の方々に助けてもらい、家族に支えてもらえたからだ。
 私は十二歳の時、重い病気にかかり、半年以上の入院を強いられた。その中で、抗癌剤治療をし、その副作用で髪の毛が無くなった。また、血液の成分が少なくなり、輸血を三十回以上行った。そのおかげもあり、徐々に体力をとりもどし、お医者さんや看護師さんに見送られながら病棟を出ることができた。こうして私のキツくて辛い入院生活は幕を閉じた。しかし、退院したら全てが解決とはならず退院から半年程はウィッグをつけた生活だった。そのウィッグは知らない方がヘアドネーションをして作られた私の宝物だ。今は、もちろん自分の髪で、体調が悪くなることも少なく、通院も三カ月に一度くらいで、とても元気に毎日を送ることができている。
 「よしっ。次は私が社会に恩返しする番だ。」と最近よく思う。そう思うのには理由がある。
 八月七日、私の母は骨髄ドナーとなって、骨髄を提供するため入院した。そして私の母と姉は献血ができるときには献血をかかさず行い、姉はヘアドネーションも行っている。また、姉の将来の夢は看護師だと言う。本当は私がすべきことなのに、何も出来ていないと無力感を感じる。
 この世界では、見えない相手を救うためにたくさんの人々が献血、ヘアドネーション、ドナー登録等に協力している。これは「助け合い」で成り立っていることだ。自分の時間をけずって、時には痛い思いまでして辛さやキツさと闘っている人々を助ける。これがまさに「助け合う」ということだと思う。私は救ってもらう、助けてもらう側だった。次は救う、助ける側になりたいと強く思う。
 私には夢がある。それは医者となってたくさんの人々に未来を与えることだ。闘病生活を通して、医療関係者がすばらしいと思ったことはもちろん、コロナ禍を通して、医療関係者がたくさんの人々に必要とされている存在であることを改めて強く感じさせられた。
 私は、今はまだ中学生で社会においてとても小さな存在だ。また、私にできることは限られている。しかし、受験生の今、進路について本格的に考え、これから助けを必要としている人達の心に寄りそうためにどうしたら良いかを自分の中で深めていきたい。
 この社会全体で、小さな助け合いの輪がたくさん作れるように、これから一歩ずつ未来に進んでいこう。

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